資金移動業についてよくあるご質問

事業者のみなさまからよくあるご質問

  
Q1. 資金移動業として行う為替取引と銀行業として行う為替取引には、どのような違いがありますか。
A1. 資金移動業は銀行等の預金取扱金融機関以外の者が行う為替取引を指し、銀行等の預金取扱金融機関が行う為替取引は銀行業として行われます。

資金移動業者が、資金移動業として行う為替取引と、銀行等が、銀行業として行う為替取引には、次のような違いがあります。
  1. ① 取扱金額の相違
    • 資金移動業者が、資金移動業として行うことのできる為替取引は、1回当たりの金額が100万円に相当する額以下の取引に限定されています。これに対して、銀行等が、銀行業として行う為替取引には、取扱金額に制限はありません。
  2. ② 経営形態等の相違
    • 資金移動業者は、資金移動業のほか他の業務も営むことができます。また、株式会社に限られていますが資本金等の規制はありません。これに対し、銀行には他業禁止規制や自己資本比率規制が課せられています。
  3. ③ 業者破綻の場合の利用者保護の仕組みの相違
    • 資金移動業者は、利用者から預かった資金と同額以上の額を供託等によって保全する義務を負います(法第43条)。資金移動業者が万一破綻した場合には、利用者は、財務局の還付手続により、供託等によって保全されている資産から、弁済を受けることができます(法第59条)。

      これに対し、銀行には他業禁止規制や自己資本比率規制が課せられており、これによりその経営の健全性の確保を図る仕組みとなっています。そして、銀行等が万一破綻した場合には、預金保険法に基づき、決済債務は全額保護されることとなっています(預金保険法第69条の2)。

      このように、業者が破綻した場合の利用者保護の仕組みも異なります。

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Q2. 日本国外から日本国内への被仕向送金サービス(※)を取り扱うことを予定しています。このようなクロスボーダーの被仕向送金サービスの場合、資金移動業の登録は必要ですか。
    • (※)外国の業者が日本国外において引き受けた送金資金を、日本にある当社が引き受け、日本にいる受取人に対して、当社がこれを交付すること。
A2. 被仕向送金サービスについても、仕向送金サービス同様、平成13年の最高裁決定(注)に基づき、資金移動業の登録が必要かどうか(為替取引を業として営んでいるかどうか)を個別に検討する必要があります。そうした検討の結果、資金移動業の登録が必要となる可能性があります。
    • (注)「「為替取引」を行うことは、顧客から、隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受けること、又はこれを引き受けて遂行することをいう」(平成13年3月12日最高裁第三小法廷決定)

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Q3. 登録の拒否事由はどのようなものですか。
A3. 登録申請者が、次のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録は拒否されることとなります(法第40条)。
  1. ① 組織形態(1号、2号)
    • 株式会社か、外国資金移動業者でない者は、資金移動業者になることができません。
  2. ② 財産的基礎(3号)
    • 資金移動業を行うにあたっては、資産保全義務の履行やシステム投資能力等が必要となることから、資金移動業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる財産的基礎を有することが求められています。

      この財産的基礎を欠く者は、資金移動業者となることができません。

      財産的基礎の具体的な内容については、Q3を参照してください。
  3. ③ 業務遂行体制や法令等遵守体制の整備(4号、5号)
    • 資金移動業を行うに当たっては、資金移動業を適正かつ確実に遂行する体制や法(第3章 資金移動)の規定を遵守するために必要な体制の整備が行われていることが必要です。

      この体制整備を欠く者は、資金移動業者となることができません。

      資金移動業を適正かつ確実に遂行する体制や法(第3章 資金移動)の規定を遵守するために必要な体制の具体的な内容については、Q4を参照してください。
  4. ④ 他の資金移動業者と同一又は類似の商号・名称を用いていないこと(6号)
    • 他の資金移動業者と同一又は類似の商号や名称を使用する者の登録を認めることは、資金移動業の利用者が為替取引を提供する事業者の区別ができず、利用者保護に欠けるおそれがあることから、このような者は資金移動業者となることができません。
  5. ⑤ 過去5年間に、資金移動業の登録、資金清算業の免許を取り消されたり、法、銀行法等に相当する外国の法令の規定により同種の登録、免許を取り消されたことがないこと(7号)
    • 過去5年間に、為替取引に関する事業者として不適格とされた者は、資金移動業者となることができません。
  6. ⑥ 過去5年間に、法、銀行法等、出資法またはこれらに相当する外国の法令に違反し、罰金の刑又はこれに相当する外国の刑に処せられたことがないこと(8号)
    • 過去5年間に、為替取引等に関する法令に違反し、法令等遵守に問題があると考えられる者は、資金移動業者となることができません。
  7. ⑦ 他に行う事業が公益に反しないこと(9号)
    • 資金移動業者の信頼性の確保の観点から、資金移動業の他に行う事業が公益に反すると認められる者は、資金移動業者となることができません。

      公益に反する事業とは、違法事業のみならず社会的に不当と認められる事業も含み、例えば、暴力団をはじめとする反社会的勢力と関係する事業や、その事業内容が社会的に批判を受け、又は受けるおそれがあるものなどを指します。
  8. ⑧ 取締役等に不適格者がいないこと(10号)
    • 取締役等は、業務の執行やその執行を監査する立場にあり、組織の運営において重要な役割を果たすことから、資金移動業を行う上で不適格な者を取締役等とする法人は、資金移動業者となることができません。

      不適格な者とは、次のような者をいいます。
      • イ)成年被後見人、被保佐人(外国の法令上これらに相当する者)
      • ロ)破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(外国の法令上これに相当する者)
      • ハ)禁錮以上の刑(これに相当する外国の刑)に処せられた者で、5年を経過していない者
      • ニ)法、銀行法等、出資法、暴力行為等処罰法(これらに相当する外国の法令)に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の刑)に処せられた者で、5年を経過していない者
      • ホ)資金移動業者が登録を取り消された場合(外国において同種の登録を取り消された場合)の取消の日前30日以内に取締役等であった者で、5年を経過していない者
      • ヘ)ホ)に準ずるものとして政令で定める者

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Q4. 資金移動業者にはどの程度の財産的基礎が求められますか。
A4. 資金移動業者に求められる財産的基礎については、一律に資本金の額や純資産額を求めるといった定量的な基準は設けられていませんが、登録申請者が行おうとする資金移動業の内容及び方法に応じて、必要となる財産的基礎を有するかを具体的に審査することとなります。

例えば、資金移動業者が営業所において現金の受払いを予定する場合には、営業所において利用者に対して引き渡すべき現金を準備できること、営業所に配置する人員や、物的体制を整備するだけの資金があることが求められると考えられます。これに対し、資金移動業者がインターネット等を用いて、銀行口座等から資金を移動する仕組みを用いる場合には、インターネット等を用いた情報処理システムを構築して運用するだけの資金を準備できることが求められると考えられます。

また、共通するものとしては、利用者に対して日々の受払いを行う資金のほかに、当初から最低要履行保証額(1000万円)を資産保全するだけの資金準備があること、事業開始後は、資金移動業者自身の事業規模(総取扱件数や総取扱金額)から推計される未達債務の額に応じた要履行保証額を保全できることなどが求められます。

上記の考え方を反映して、事務ガイドラインでは、(イ)申請者が法に基づく履行保証金の供託等の義務を履行するに足る財産的基礎を有しているか、(ロ)利用者に対する資金の授受を円滑に行うに足る態勢を有しているか、(ハ)収支見通しについて、競合者の参入、システムの陳腐化等、環境の悪化に伴う対応方策が確立しており、その場合でも一定の収益を見込めるような計画となっているかなどを登録審査の際の着眼点として挙げています(事務ガイドラインⅡ-2-1(2)①)。

申請者は、登録申請時に、最終の貸借対照表及び損益計算書、会計監査報告の内容を記載した書面、事業開始後三事業年度における資金移動業に係る収支の見込みを記載した書面等の提出を行い(府令第6条)、これらの財産的基礎があることを疎明する必要があります。

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Q5. 資金移動業者に求められる体制の整備にはどのようなものがありますか。
A5. 資金移動業者に求められる資金移動業を適正かつ確実に遂行する体制や法(第3章 資金移動)の規定を遵守するために必要な体制は、資金移動業を遂行するに十分な業務運営や業務管理がなされることを指しており、資産保全義務の履行など、法に定める措置が確実に行われることを意味します。

例えば、資金移動業者が提供するサービスの内容等が明記された約款等が、利用者との間で適切に締結されること、契約書類等に従ったサービスの提供がなされること、個人情報の保護に関する法律、犯罪による収益の移転防止に関する法律等に基づく義務や、企業が社会的に広く遵守すべき規範や指針(例えば、反社会的勢力による被害を防止するための指針など)も遵守する態勢を構築する必要があります。

上記の考え方を反映して、事務ガイドラインでは、(イ)社内規則等及び事務ガイドラインⅠ―1(経営管理等)並びにⅠ-2-1(法令等遵守)からⅠ-2-3(事務運営)までに掲げた主な着眼事項について、例えば、国際送金や現金の受払いの有無など、当該資金移動業者の規模・特性等からみて、適切に対応するための態勢(法令等遵守のための態勢のほか、特に相互けん制機能が有効に機能する内部管理部門の態勢(業容に応じて、内部監査態勢)を含みます。)が整備されているか、(ロ)定款又は寄付行為等に法人の目的として資金移動業を営むことが含まれているか、(ハ)特に、国際送金を取扱うことを予定している申請者については、外国為替及び外国貿易法、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律等、国際送金に係る関係法令を踏まえた態勢整備が行われているか、(ニ)申請者が行う業務に国際送金が含まれている場合には、登録申請書に記載されている未達債務の算出時点及び算出方法が、申請者が使用する約款の記載事項と合致しているかなどを登録審査の際の着眼点として挙げています(事務ガイドラインⅡ-2-1(2)②)。

申請者は、登録申請時に、資金移動業に関する組織図(内部管理に関する業務を行う組織を含みます。)、資金移動業に関する社内規則等、資金移動業の利用者と為替取引を行う際に使用する契約書類、資金移動業を第三者に委託する場合にあっては、委託契約書等の提出を行い(府令第6条)、これらの態勢が整備されていることを疎明する必要があります。

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Q6. 未達債務の額の計算方法は、どのようにするのですか。
A6. 資金移動業者は、為替取引によって日々変動して発生する滞留資金をできるだけリアルタイムで把握して、この金額に還付費用を加えた額と同額以上の額の資産保全を行う必要があります(法第43条)。

そこで、未達債務の額は、各営業日における未達債務算出時点における資金移動業者が利用者に対して負担する為替取引に係る債務の額とされます。

資金移動業者は、登録申請書にあらかじめ決定した営業日や未達債務算出時点を記載して、財務(支)局長に提出していますので、例えば、営業日を月曜日から金曜日まで、未達債務算出時点を午後6時とした場合には、月曜日から金曜日までの午後6時時点で、それぞれ資金移動業者が利用者に対して負担している為替取引に係る債務の額を集計し、これらを未達債務の額とする必要があります。

以上は原則的な未達債務の額の計算方法ですが、次のような例外的措置や留意事項が定められていますので、ご留意下さい。
  1. ① 資金移動業者が国内でも国外でも為替取引を提供している場合であって、国内にある利用者に対して負担する債務の額と国外にある利用者に対して負担する債務の額を区分できるときは、国内にある利用者に対して負担する債務の額のみを未達債務の額とすることが認められています。

    但し、この取扱いが認められるためには、以下のような態勢を整備することが必要となります(事務ガイドラインⅠ-2-2-2-1(注4))。
    • イ)利用者ごとに、居住地(国内か国外か)が確認できていること。
    • ロ)区分の基準が明確であること。
    • ハ)帳簿書類上も当該基準に従った区分が行われていること。
  2. ② 資金移動業者がその行う為替取引の利用者に対して、反対債権(ただし、為替取引に関する債権に限ります。)を有している場合には、当該利用者ごとに算定した債務の額から、その利用者に対して有する反対債権の額を控除することができます。

    この場合、資金移動業者として通常備える必要がある法定帳簿に加えて、利用者ごとの債務の額及び反対債権の額の記録を法定帳簿として備える必要があります(府令第33条第1項第8号)。

  3. ③ 為替取引が外国通貨で表示された金額で行われる場合における未達債務の額の算出は、各営業日における外国為替の売買相場により、外国通貨で表示された金額を本邦通貨で表示された金額へ換算して行う必要があります。

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Q7. 資金移動業者は、金融ADR制度の対象となっていますか。また、資金移動業者に求められる金融ADR措置の内容は何ですか。
A7. 資金移動業者は、金融ADR制度の対象となっています。

資金移動業者に求められる金融ADR措置の内容は、指定資金移動業紛争解決機関が存在する場合と指定資金移動業紛争解決機関が存在しない場合とで異なりますので、以下、区分して説明します(法第51条の2第1項)。
  1. ① 指定資金移動業紛争解決機関が存在する場合
    • 一の指定資金移動業紛争解決機関との間で資金移動業に係る手続実施基本契約を締結する措置を講じることが必要です。
  2. ② 指定資金移動業紛争解決機関が存在しない場合
    • 資金移動業に関する苦情処理措置及び紛争解決措置を講じることが必要です。
資金移動業においては、現在、指定資金移動業紛争解決機関は存在しません。

そこで、資金移動業者は、②の資金移動業に関する苦情処理措置及び紛争解決措置を講じることが求められます。

この場合、資金移動業者が講じる苦情処理措置は、次のいずれかとされています(法第51条の2第4項、府令第32条の3第1項)。
  1. a)利用者からの苦情の処理の業務に従事する使用人その他の従業者に対する助言若しくは指導を、一定の経験(通算5年以上)を有する消費生活専門相談員等に行わせること。
  2. b)次に掲げるすべての措置を講じること。
    • ・資金移動業関連苦情の処理に関する業務を公正かつ的確に遂行するに足りる業務運営体制を整備すること。
    • ・資金移動業関連苦情の処理に関する業務を公正かつ的確に遂行するための社内規則(当該業務に関する社内における責任分担を明確化する規定を含むものに限る。)を整備すること。
    • ・資金移動業関連苦情の申出先を利用者に周知し、並びに業務運営体制及び社内規則を公表すること。
  3. c)認定資金決済事業者協会が行う苦情の解決により資金移動業関連苦情の処理を図ること。
  4. d)消費者基本法第19条第1項又は第25条に規定するあっせん(地方公共団体(消費生活センター等))又は国民生活センターの利用)により資金移動業関連苦情の処理を図ること。
  5. e)政令第24条各号に掲げる指定を受けた者(他業態の指定紛争解決機関)が実施する苦情を処理する手続により資金移動業関連苦情の処理を図ること。
  6. f)資金移動業関連苦情の処理に関する業務を公正かつ的確に遂行するに足りる経理的基礎及び人的構成を有する法人が実施する苦情を処理する手続により資金移動業関連苦情の処理を図ること。

また、資金移動業者が講じる紛争解決措置は、次のいずれかとされています(法第51条の2第5項、府令第32条の3第2項)。
  1. a)利用者との紛争の解決を裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律に定める認証紛争解決手続(認証ADR)により図ること。
  2. b)弁護士法第33条第1項に規定する会則若しくは当該会則の規定により定められた規則に規定する機関におけるあっせん又は当該機関における仲裁手続により資金移動業関連紛争の解決を図ること。
  3. c)消費者基本法第19条第1項又は第25条に規定するあっせん又は同条に規定する合意による解決(地方公共団体(消費生活センター等)と国民生活センターの利用)により資金移動業関連紛争の解決を図ること。
  4. d)政令第24条各号に掲げる指定を受けた者(他業態の指定紛争解決機関)が実施する紛争の解決を図る手続により資金移動業関連紛争の解決を図ること。
  5. e)資金移動業関連紛争の解決に関する業務を公正かつ的確に遂行するに足りる経理的基礎及び人的構成を有する法人が実施する紛争の解決を図る手続により資金移動業関連紛争の解決を図ること。

資金移動業者は、上記記載のいずれか一つ又は複数の苦情処理措置及び紛争解決措置を講じる必要がありますが、認定資金決済事業者協会である一般社団法人日本資金決済業協会においては、会員から申出があった場合には、金融ADR制度について、次のとおり対応しています。これにより、資金移動業者は、法令の内容に適した苦情処理措置及び紛争解決措置を講じることができます。
  1. 1.資金移動業関連苦情処理措置
    • 会員から「資金移動業関連苦情に関する確認書」を徴求し、協会が行う苦情の解決により、資金移動業関連苦情の処理を図ることとしています。

      なお、苦情処理に当たっては、協会の定める苦情解決支援規則等に従い対応する必要があります。
  2. 2.資金移動業関連紛争解決措置
    • 会員から「資金移動業関連紛争に関する確認書」を徴求し、「協会と東京三弁護士会との間で締結した同弁護士会のあっせん・仲裁手続により資金移動業関連紛争の解決を図る旨の協定」を利用することにより、資金移動業関連紛争の解決を図ることとしています。

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Q8. 資金移動業者は、マネー・ローンダリング規制やその他の法律の規制を遵守する必要がありますが、その内容はどのようなものですか。
A8. 資金移動業者は、その業務の内容及び方法に応じ、必要とされる他の法律の規定を遵守する必要があります。例えば、まず、マネー・ローンダリングやテロ資金供与の防止を目的とした「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(犯罪収益移転防止法)を遵守する必要があります。

また、国外送金を行う場合に関しては、「外国為替及び外国貿易法」(外為法)、「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」(国外送金等調書法)、および「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)などの遵守が求められます。

犯罪収益移転防止法は、特定事業者である資金移動業者に対して、①取引時確認義務、②確認記録及び取引記録の作成・保存義務、③疑わしい取引の届出義務、④コルレス契約締結時の厳格な確認義務、⑤外国為替取引に係る通知義務、⑥取引時確認を的確に行うための措置を構ずる義務を課しています。

また、外国送金に関しては、外為法に基づいて資産凍結等経済制裁措置に係る確認が資金移動業者にも義務化されており、適切な確認義務の履行方法等について外国為替検査マニュアルで示されています。その他、国外送金等調書法に基づいて、告知書等により顧客のマイナンバー(個人番号)を取得したうえで、マイナンバー法に基づいて、取得したマイナンバーを適切に管理する必要もあります。

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Q9. 為替取引を実行する際に求められる取引時確認の内容はどのようなものですか。
A9. 資金移動業者は、犯罪収益移転防止法で規定する特定事業者として、特定取引(①10万円を超える現金の受払いを伴う為替取引、②為替取引を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約の締結)を行うに際して、取引時確認を実施することが求められます。

取引時確認とは、個人顧客の場合には、顧客の本人特定事項(氏名、住居、生年月日)の確認に加え、取引目的及び職業を、法人顧客の場合には、顧客の本人特定事項(名称、本店又は主たる事務所の所在地)の確認に加え、取引目的、事業内容及び実質的支配者の本人特定事項(氏名、住居、生年月日)を確認することをいいます。

取引時確認義務のうち、本人特定事項の確認義務の履行方法としては、運転免許証など公的機関によって発行された書類(本人確認書類)の提示を受ける方法のほか、本人確認書類の写し等の送付を受けて、これに記載されている住居に取引関係文書を書留郵便等により転送不要郵便物等として送付する方法や、本人限定受取郵便により顧客等に対して取引関係文書を送付する方法などが認められています。

また、取引時確認義務のうち、本人特定事項以外の事項(取引目的や職業等)の確認義務の履行方法としては、申告を受ける方法その他法令の定める方法で確認することが必要となります(法人顧客の事業内容の確認については、書類等を確認することが必要です。)。

なお、法令改正により、平成28年10月1日から取引時確認の方法が以下のように変わりました。
    • ⅰ)顔写真のない本人確認書類(健康保険証、年金手帳等)を提示する場合には、別の本人確認書類(住民票の写し等)、または現住居の記載がある公共料金の領収書等の提示などの追加措置が必要となりました。
    • ⅱ)法人顧客のために取引を行う担当者であることの確認方法として、当該法人が発行する身分証明書(社員証等)が使えなくなり、委任状等の取引の任に当たっていることが確認できる書類を有していること、または、当該法人に対して電話をかけるなどの方法により取引の任に当たっていることの確認をすることなどが必要となりました。また、登記事項証明書に役員として登記されている者であっても、当該法人の代表者として登記されていない場合は、委任状などの当該法人の代理人等であることを証する書類が必要になります。
    • ⅲ)法人の実質的支配者を自然人まで遡って特定し、その者の本人特定事項の申告をすることが求められるようになりました。
    • ⅳ)外国政府等において重要な公的地位にある者(外国において、元首や日本の内閣総理大臣その他の国務大臣・副大臣、衆参両議院の議長・副議長、最高裁判所の裁判官、統合幕僚長・統合幕僚副長、陸・海・空の幕僚長・幕僚副長に相当する職、中央銀行の役員の職にある者など。また、過去にその地位にあった者)およびその家族ならびにこれらの者が実質的支配者である法人については厳格な確認の対象となり、既に本人特定事項等の確認が行われていても、新たに別の資金送金アカウントの開設などを行う場合には、再度確認が求められるようになりました。

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Q10. 疑わしい取引の届出はどのような場合に行う必要がありますか。
A10. 資金移動業者は、①資金移動業において収受した財産が犯罪による収益である疑いがあるかどうかを判断し、その疑いがあると認められる場合、または、利用者が資金移動業に関し組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第10条の罪若しくは国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律第6条の罪に当たる行為を行っている疑いがあるかどうかを判断し、その疑いがあると認められる場合には、速やかに金融庁に対し「疑わしい取引の届出」(犯罪収益移転防止法施行規則第25条に定める別記様式第1号から第3号までの届出。なお、別記様式第4号の電磁的記録媒体提出票の提出などにより行うこともできる。)を行わなければなりません(犯罪収益移転防止法第8条第1項)。

疑わしい取引の届出制度の概要等については、警察庁刑事局組織犯罪対策部組織犯罪対策企画課犯罪収益移転防止対策室(JAFIC)のウェブサイト(http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/index.htm) をご覧ください。

疑いがあるかどうかの判断については、取引時確認の結果、取引の態様その他の事情及び国家公安委員会が作成・公表する犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案し、かつ所定の項目(①他の顧客との間で通常行う為替取引の態様との比較、②当該顧客との間で行った他の為替取引の態様との比較および③取引態様と取引時確認の結果その他の情報との整合性)に従って当該取引に疑わしい点があるかどうか確認する方法によることが必要です(犯罪収益移転防止法第8条第2項、犯罪収益移転防止法施行規則第26条)。また、高リスク取引等マネー・ローンダリングに利用されるおそれの高い取引については、上記の方法により疑わしい取引の届出の要否を判断するとともに、顧客等に対する質問その他の当該取引に疑わしい点があるかどうかを確認するために必要な調査を行った上で、統括管理者等に当該取引に疑わしい点があるかどうか確認させる方法によることが必要です(犯罪収益移転防止法施行規則第27条第3号)。

事務ガイドラインにおいても、疑わしい取引の届出を行うに当たって、利用者の属性、取引時の状況その他資金移動業者の保有している当該取引に係る具体的な情報を総合的に勘案した上で、犯罪収益移転防止法第8条第2項及び犯罪収益移転防止法施行規則第26条、第27条に基づく適切な検討・判断が行われる態勢を整備することを求めています。

態勢整備に当たっては、特に、以下の点に留意する必要があるとされています(事務ガイドラインⅠ-2-1-2-1(3))。
  1. ① 資金移動業者の行っている業務内容・業容に応じて、システム、マニュアル等により、疑わしい利用者や取引等を検出・監視・分析する態勢を構築すること。
  2. ② 犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案の上、国籍、外国PEPs該当性、利用者が行っている事業等の利用者等属性や、外為取引と国内取引との別、利用者属性に照らした取引金額・回数等の取引態様その他の事項を十分考慮すること。また、既存顧客との継続取引や高リスク取引等の取引区分に応じて、適切に確認・判断を行うこと。

具体的に、どのような場合に疑わしい取引として届出が必要となるかについては、金融庁が示している疑わしい取引の参考事例(http://www.fsa.go.jp/str/jirei/index.html)などを参考にして、資金移動業者自身がその判断基準を適切に設定する必要があります。

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